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米国大統領選挙後の相場考察

日本経済の冠を付けているにも拘らず、また米国関連の記事を記載する。米国大統領選挙後に円高とのシナリオが浮上しているこれについて、簡単に記載してみたい。

大統領選挙の翌年の為替相場について、統計を取ってみた。1976年以降において、共和党が現職である時の選挙について、共和党が負けた場合の2回は何れも翌年円高だった。共和党が勝った場合が3度あるが、このうち2度は翌年円高。ちなみに円高にならなかった年はレーガン→ブッシュ(父)と大統領が代わったという点が今回と異なる。以上のデータから、翌年円高の可能性が高いと考えている。

経済面からは、新聞等で報道の通り、米国の経常赤字が問題となる。同数字の対GDP比率は5%を超えており、双子の赤字が問題となったレーガン時代よりも酷い。レーガン時代末期~ブッシュ(父)~クリントンの間、ドル安政策によりこの赤字を削減する方策を取った。プラザ合意やルーブル合意がそれである。この時と同じく、為替の弾力性を用いて赤字削減に取り組むことが来年の大統領が民主党、共和党の何れであっても重要な政策となることは間違いなく、ここの所の円高傾向はその先取りであることは間違いない。

今週央の日経金融新聞にケリーが政権を取った場合には、ドル安政策を取らないとの記事が載っていた。日経金融新聞も地盤沈下が著しく、目を覆いたくなる。高水準の経常赤字を放置しても良いというのだろうか。それともドル安にすることなく、経常赤字を減少することができると言うのであろうか。経常赤字とは借金の一種である。借金を返済する場合に、インフレになった方が相対的な価値の減少から借金を返しやすくなる。これと同様に、ドル安にすることでドルベースの借金を目減りさせる。また、為替で自国通貨価値を低下させることで、輸出競争力を改善さえ、貿易赤字を減少させる。これらは経済の基本的な考え方で、これらを無視して、ケリーが政権を取ろうとしているならば愚の骨頂と言える。しかし、小生が他の報道を目にする限りは、日経金融新聞紙のみがこのような論を展開していた。

日本企業は円高耐性を強めているとの意見がある。それは、中国が為替政策でドルペッグ制を行っていることを利用した中国を通じた迂回輸出を通じての面もあろうと考えている。米国の経常赤字問題のターゲットは日本のみにあらず、中国に対しても行われるはずであり、G7+中国でその圧力は強まっている。来年度までの猶予はあるだろうが、来年度には中国がドルペッグ制を放棄させられる可能性があり、この点は大きなリスクシナリオと言えよう。

為替面からの製造業の業績悪化と、製造業の好業績から非製造業への経済波及効果のどちらが早いかにより、今後の景気減速時期は大きく異なる。この点の判断は今の所、固められてはいない。


※ 尚、米国がドル安政策を行わない可能性はあります。しかし、北朝鮮問題という弱みが日本にはある。

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グリーンスパンFRB議長は詐欺の片棒を担いでいる?

『グリーンスパンFRB議長は詐欺の片棒を担いでいる?』と語ったのは、パシフィック・インベストメント・マネジメント( PIMCO)の投資責任者、ビル・グロス氏。正確に翻訳すれば、前述のコメントは間違っていることとなるが、気持ちとしてはこういう意味だろう。グロス氏は、世界的に有名な債券トレーダーで、今年の春先に『米国債は売られすぎている』と指摘し、夏場以降の金利低下を見事に言い当てた。

グロス氏が指摘していることは、『米国政府は、消費者物価指数を意図的に低インフレにすることで成長率のかさ上げを行っている』というもの。 << 実質経済成長率=名目経済成長率-物価上昇率 >>の式から明らかなように、名目成長率=5%、物価上昇率=2%から実質経済成長率=3%となるが、物価上昇率が2%でなく3%であるとすると実質経済成長率=4%となる。物価上昇率つまり消費者物価指数を意図的に本来3%であるものを2%にする等と低水準(低インフレ)にしているとすれば、実質経済成長率をかさ上げできることとなる。昨年日本のGDPが実感以上に高成長になったことがあるが、GDPデフレーター(物価指数)が1995年基準であったため、デフレ進行に加速度が出て、必要以上にデフレ(マイナスの物価上昇率)が大きくなり、実質GDPをかさ上げしたことと同様のことである。

グロス氏の言う消費者物価指数を意図的に低インフレに操作しているものとして、”ヘドニック法”を批判している。ヘドニック法とは、商品の価格と特性に関する大量のデータから計量的手法を用いて特性ごとの金額換算値を求め、品質調整を行う手法である。例えば、PC価格について言えば、販売される価格が横ばいであったとしてもMPUの速度やHDDの容量等の性能が向上させており、この性能向上を計数化して5%あるとすると、約5%の価格低下があったものと考える考え方である。

ちなみにグリーンスパン議長自身も、消費者物価指数の数値は実態よりも低めであるということは認めている。しかし、グロス氏の挑発に対して、FRBの関係者は一応に『グロス氏はヘドニック法を誤解している。或いは理解していない』と反発している。私の知る限り、グロス氏に同調する人はほとんどなく、異を唱える人が多い。

しかし、小生はグロス氏が直感的に正しいのではないかと考えている。確かに性能差を反映して価格情報に連続性を持たせることは必要であり、重要だと思う。しかし、”技術の陳腐化”についてはやはり考慮されるべきであろう。これについては”ムーアの法則”が有名で、半導体が約2年でおよそ2倍の集積を持つというもの(2010年には微細化レベルが原子レベルに達する為、達成されなくなると予想されている)。2年待てば同じ商品の価格が下落するという期待感が常にあり、このことは年限経過による陳腐化と呼べるのではないだろうか。小生は詳しいヘドニック法の計算方法を知らない為、検証することはしていないが、陳腐化に対する考慮が不十分であれば、PC価格等のヘドニック法を利用している物価指数を構成しているものの物価が不等に低く評価されることとなり、実際よりも低インフレになるのではないだろうか。

これが正しいとすると、今後の相場展開はどうなるであろうか。現在、米国の政策金利(FFレート)は1.75%と消費者物価指数の前年比の数値とほぼ同じであり、実質金利はゼロ%であるが、本当はまだマイナスで中立にするためには更なる引き締めを行わなければならないということとなる。また、経済成長率がその分下方修正されることとなるため、株価下落要因となる。基本的には日本の株式市場に対して強気の小生であるが、この天井はそれ程高くないということになる。今後の議論に注目したい。

※ 日本経済の題名にしながらも、米国経済の方が多いように思う。きっと日本経済にネタが少ないからだろう。

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8月の機械受注は先行の設備投資減少を反映

8日発表の8月の機械受注は、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の動向を見ると、7月前月比11.3%減の後、8月は同3.1%増の9,471億円となった。

8月の事前予想は5.4%増であったが、これを下回ったことで景気の減速感を浮き彫りにした。但し、このことは法人企業景気予測調査でも明らかになっていることで特にサプライズはない。元々、非常にブレの大きな経済指標であることから、今後の株式相場に大きな影響を与えることはないと考えている。しかし、日銀短観以降、上昇してきた株式相場の足を引っ張るには充分であろう。中間決算発表が堅調であることが予想されるため、当面、堅調な相場を保つ可能性はあるが、少なくとも上値追いは差し控えた方が良さそう。

個人的な株式見通しであるが、11月中旬頃に再び買場を迎えるのではないかと考えている。但し、その後は相場上昇を予想している。もう少し明確な論拠が示せれば良いのだが、今の所の論拠は少ない。

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10月1日発表、日銀短観について

10月1日発表された日銀短観は、大企業製造業DIが+26と、6月時点における先行きDI+21を上回り、事前予想+23も上回り好調な結果となった。但し、先行き(12月)のDIが+21と低下予測となっていたため、例によって『先行き不安』との主旨の見出しも見られた。

景気減速先行き不安キャンペーンのストラテージストや日経新聞は、足許のDIが高かったことも何のそので、経済弱気を語り続けているが、小生は異論があると考えている。これらの人間が論拠としている電子部品・デバイス工業の在庫増加であるが、日銀短観の業種別DIで電気機械が+28と、6月時点の先行き+30よりは低かったものの依然として高水準を保っている。本当に在庫が高いことが、“意図せざる在庫増”であるならば、DIは急低下しているのではないだろうか。小生は現在の在庫の高いことが、“意図的な在庫増”であると考えている。そう考える理由には稼働率の高さがある。先行きに不安が強いのであれば、稼働率を低下させればよいのにも関わらず、そうしない理由は先行きの需要が望めることに他ならない。

携帯電話について言えば、携帯電話番号のポータビリティ (携帯電話の利用者が携帯電話事業者を変更した場合に、電話番号を変更することなく変更後の携帯電話事業者のサービスを利用できること) が2006年に実施予定となっており、競争激化を考えれば付加機能強化は不回避となり、第3世代携帯への移行を促すこととなる。

PCにおいて言えば、周知の通り、64ビットPCへの移行テーマがある。2005年春にインテルが同対応MPUを発売することとなるため、来年はこの需要が相当高いと考えられる。現在、これが取り沙汰されないのは、12月商戦で32ビットモデルの買控えが出ることに配慮しているように感ずる。小生は32ビット機種が出た時にPCを購入した経験を持っており、小生同様に64ビット機種が出ることを待ち望んでいる人も多いと考えている。

トヨタ方式が広まっただけが理由ではなく、市場調査を通じて在庫管理は充分認識されながら行われている。この点から考えると、勘違いしているのはむしろ株式市場に関係する人間の方であり、彼らはITバブルで損(株価下落)したトラウマに支配されているという所であろう。

今回もGDP1次速報値発表頃に株を買、日銀短観発表頃に売れば儲かった。

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