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日銀展望レポートの罪と評価する所

28日に発表された日銀展望レポート(経済・物価情勢の展望)について記載しようと思っていたところ、上手く纏めていらっしゃる方がいらっしゃいましたので、結果の詳細についてはこちらをご参照下さい。


規定路線であった消費者物価指数の2005年度下方修正、2006年度プラス予想
4月5・6日に実施された日銀金融政策決定会合で、従来であられば10月に発表される予定であった翌年度(2006年度)分をこの4月に前倒し発表していたことから、消費者物価指数の2005年度を下方修正し、2006年度のプラス予想を示すことは規定路線であった。事実、長期金利(10年国債利回り)は、当該発表前に2004年3月以来となる1.235%という低水準に低下(4月上旬の1.5%台から急低下)しており、ある種日銀が2005年度中の量的緩和解除を諦めるであろうことを市場が読んでいたと言える。


問題を残した消費者物価指数の2005年度下方修正
消費者物価指数を下方修正したことが問題ということではなく、日銀がそのような判断をしたことが問題と考えている。今回の消費者物価指数の下方修正の理由として、展望レポートに記載されていたのは『米価格の下落や電気・電話料金引き下げの影響』としている。28日の日経金融新聞でも指摘されていたが、昨年10月にこれらのことは判っていたことであり、元々、予想数字が高かったことが問題で、その後も1月の中間報告やそれ以降の日銀総裁会見で訂正することが可能であったにも関わらず、ここまで明確に示してこなかったことを問題視している。

何故、高い予想を行い、持続してきたかということは、量的緩和解除を行うことを前提としていることに他ならない。次回衆議院選挙が2008年でその前年に2007年に消費税引き上げを行うことが政治的なスケジュールとして広く認識されている。量的緩和解除はこれまでに行う必要があるが、2006年度には消費者物価指数の基準が変更される問題がある。当該変更は、現在の2000年基準から2005年基準に変更され、現在は基準に入っていない液晶TVや携帯電話等の情報機器関係商品が加わり、また既に入っている同種の商品のウェートが高められるため、物価下落要因若しくは物価上昇の抑制要因として考えられる。消費者物価指数においてはヘドニック法と呼ばれる調整が行われており、価格が同じで性能が2倍(例えばHDDの容量が20GBから40GB等)の場合、物価が半分になったものとして取り扱われる。情報機器は性能の陳腐化が早く、半導体においては2年毎に性能が2倍になるというムーアの法則が良く知られている。2005年度基準となれば、消費者物価指数におけるデフレ圧力が強まる。来年4月には2006年度のプラス予想をマイナスに転換等という洒落にもならないことが予想される。

話を戻すが、日銀が犯したこれらの最大の罪は、“日銀の経済予想は客観的でない”という印象を世に示したことである。経済予想が客観的でないならば、当然それを前提とする金融政策も客観的でないとの不信感を生むこととなり、それが大きな問題と考えている。


日銀の先行き回復シナリオ堅持について小生は同感
信頼をなくした格好となっている日銀の経済予想であるが、先行き回復シナリオは小生も同感である。28日発表の3月鉱工業生産指数において、良く話題とされる電子部品・デバイス工業の在庫は圧縮され、2004年4月以来の水準に低下していた。在庫の減少は、先行きの不安の表れとも考えられるが、先行きに需要が増加する要因があるならば、景気の下落方向からの転換点と認識して良いだろう。

4月25日に米国マイクロソフト社が64ビット対応のWindows(XP等)を発売した。同時に2006年発売予定のロングホーンという新型OSのデモンストレーションを行った。日本でWimdows95が発売されてから、本年11月で10周年を迎える。未だにそのOSを使い続けている人間はいないだろうが、およそ5年で買替サイクルがあると考えられる。思い起こせば5年前には2000年問題があった。そろそろPCやサーバーを買い替える人間も出てくるのではないか。詳しくは、本職の株アナリストの意見を聞いてくだされ。

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目先底打ちした日本株

前週に超弱気を記載しておいて何ではあるが、4月21日に日本株は目先の底を打ったと考えている。同日の安値を下回る可能性を全く否定するつもりはないが、日経平均10,800~10,500近辺にレンジ下限にがあると考えており、これに到達した以外の理由はない。最近の株価下落の理由は、中国問題、ライブドア関連問題、及びGM(ゼネラルモータース)問題であり、それぞれの視点から目先底打ちを論じてみる。

中国問題(反日デモの行方)
19日から今週末にかけて中国共産党が事態の収拾に乗り出した。許可のない反日デモを禁止を明確にし、取締る警告を行った。突然の変心に、「中国人も日中友好に目覚めた」と考えているならばそれは間違い。国際都市上海のイメージ・ダウンは中国への投資を慎重にさせ、中国自身の景気を悪化させる、この点を配慮するという極めて利己的な理由に相違なかろう。加えて、ゴールデンウィークでの観光への悪影響が危惧され、早期対策に乗り出したというものであろう。
力で押さえつけたため、再び再発する可能性も考えられなくはないが、国際的に批判されている行為でもあり、徐々に沈静化するであろう。

ライブドア関連問題(M&A期待の剥落)
2月にライブドアがニッポン放送株を35%取得して以降、日本株市場はM&Aによる上昇期待が盛り上がった。4月18日にライブドアとフジテレビが和解したことで、熱が冷めたと思われる。今後、6月に集中的に開催される株主総会で各種TOB対策が議題として上ると考えられ、一方向での上昇は考え難い。2月~4月はファンダメルズを無視して上昇した面があったが、今後はこのようなことはないだろう。但し、現状の株価水準はライブドアが問題になる以前の水準であり、所謂M&A期待が剥落した位置と考えている。
つまり、ファンダメンタルズから純粋に購入できる位置になっており、ファンダメンタルズの動向次第で利益が出ると考えている。日経平均で1万2千円、1万3千円と爪を伸ばすと駄目だろうが、11750~10750のレンジ決め打ちで6月以降のファンダメンタルズの回復を待つという戦略は理にかなっているであろう。

GM問題(米国景気減速懸念と株価下落)
当初GM個社の問題とこの点を軽視してきた。しかし、GM問題が低格付社債のクレジット・スプレッドを拡大させており、『金利負担増加→収益圧縮』からの業績懸念が米企業全般に波及していることで、米株が下落している。ただ、この点はFOMCが昨年6月からの利上げ姿勢で景気過熱を抑えていることと同じである。景気が失速しているのであれば早晩、利上げが打ち止めされ、バランスを取るはずで、NYダウ1万割れ目前の水準がシナリオ比で割高で下落余地があるとは考えていない。
最も、GM社の不調は、TOYOTA等の日本自動車メーカーの台頭によるもので、必ずしも日本株にとってネガティブとも考え難いだろう。

ロジカルではないが、水準論で日経平均の1万1千円割れは拾って置きたいということである。ちなみに、小生は21日の下落相場で株を購入出来なかった。小生のストーリーに乗るかどうかは自己判断でお願いする。

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日米経済の懸念材料

またしても間隔が空いてしまった。この間、二週間前に危惧したように、日本経済の先行きの不安感が台頭し、日経平均株価指数は2月上旬以来となる11300台へと急落した。そうそう、ライブドアによるフジTVへの攻勢が始まった頃がその頃であり、M&A期待で実態以上に株価が上昇した分が剥落したという格好であろう。現在の日本経済について、”踊り場”という表現が使われているが、上昇局面の一時的な停滞期との印象を与えている。しかし、本来このような経済情勢においては、前文の状況と下り階段への転換との双方が考えられる。足許では下り階段への転換が危惧されているようで、この点について、簡単に記載してみようと思う。

米国の経済情勢における最大の危惧は、GM問題であろう。自動車は米国においても基幹産業であり、これが傾いている。原油価格上昇で、燃費に勝るTOYOTA等の自動車メーカーに押されていることもあるが、GMは過去から従業員に行ってきた企業年金に代表される福利厚生が重しになっており、1-3月の売上高見通しを大幅に下方修正した頃から株価は下落の一途を辿っている。GMの発行する債券の格付けも格下げ方向となっており、投資不適格のBB格への引き下げも噂されるようになっている。その様は、1999年にカルロス・ゴーンがCEOに就任する直前の日産の状況に似ている。改革路線に舵を切った後、日産の株価は低迷し、日産のリストラは日本経済に暗雲を陰らせた。米国もそのような情勢に陥るかもしれない。

日本の危惧は、4月下旬から発表される各企業の決算発表で下方修正が相次ぐ可能性があることである。経済指標の低迷の割には企業収益は好調ということで、株価が維持されてきたが、これが本当であるかどうか試される。ちなみに、決算発表で下方修正が相次げば、2005年度の設備投資計画も下方修正される。景気の底支え材料がまた一つ剥落することになる。個人所得の上昇は僅かで、それも税や社会保険料引き上げで吸い上げられ、個人消費が加速することも考え難い。残るは外需か。

最後に最大の懸念材料は、中国の対日デモである。一部、日系商品の不売・不買運動の影響が出ていたが、日系企業の従業員がストライキを起こしたという報道も目にした。

株価に値ごろ感は出ているが、以上の諸々の状況を考えれば、もう少し下値に引き付ける必要があるように感じている。

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『景気 緩やかに再浮揚』って本当か

3日付の日経新聞紙には表題の見出しが踊っていた。その論拠を簡単に纏めると、デジタル関連製品の在庫調整が進み、設備投資が堅調で、雇用情勢の改善で個人消費が堅調となるということだそうだ。この3点に順に小生が検証を試みてみようと思う。

デジタル関連製品の在庫調整が進んでいるか
これについては、前月30日発表の鉱工業生産指数の内容で検証できる。2月の生産指数は前月比▲2.1%と落ち込んでいたが、製造工業予測調査によると、3月は前月比+0.9%、4月は前月比+3.6%先々明るい兆しが見て取れる。この点はシナリオ通りと小生も感じている。

設備投資が堅調か
これについては、1日発表の日銀短観の内容で検証できる。2005年度の設備投資計画が示されているが、大企業製造業の計画が前年比+3.4%(2004年度は前年比+22.7%)、全規模全産業の計画が前年比▲2.2%(2004年度+6.9%)等と、設備投資の落ち込みを示している。他の掲載指標でも概ね同様の状態にあり、小生は設備投資が2004年度比で落ち込むことを想定している。最も、これは企業が収益重視を強めている結果、設備投資を抑えることで収益を確保する動きであり、悪い面がある一方で良い面も伺え、それ程心配しなくてもよいのではないか。

雇用情勢の改善で個人消費が堅調か
雇用情勢については、29日発表の完全失業率の内容で検証できる。これによると、完全失業率は4.7%(前月4.5%)と足許で上昇しており、雇用環境は足許でやや悪化する一方、最も2003年度平均5.3%を下回っており、趨勢として改善していると言える。雇用面から個人消費の改善傾向を言えなくもないが、個人消費に水を差す要因が他にある。年季保険料の上昇と今後導入される定率減税の半減影響である。これに加え、サラリーマンの給与所得控除を縮小する動きも出ているらしい。総合的に考えると、個人消費に対して小生は弱気である。


総合的に考えて、日経紙の見出しはやや楽観的かなと思っております。日銀短観で大企業製造業の業況判断DIが14(前回22)に急落していないのであれば、見るべき点もあったと思いますが、この発表以前から掲載が決まっており、機動的に変更できなかったのでしょうか。もう少し客観性を持って報道して欲しいと思いますし、投資家の皆様方も主観的報道に惑わされないような目を持っていただければと思います。

この手のネタは同じこと繰り返しになるので、読み手も書き手もつまらないものと思います。何かネタを探しておきます。

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