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先週末の経済指標を見て

先週末に発表された経済指標で、日米ともに経済情勢の良好さを示したと考えている。

日本の失業率4.2%

6月失業率は4.2%(前月4.4%)に低下した。ニートのうち、就職を諦める人間が増加したであるとか、パートや派遣社員の増加が多いであるとか、団塊の世代が定年退職することでの特殊要因であるとか、否定的な声が多いが、職業を求めるもので職に付いていないものの比率が低下することは経済情勢の良好さを示していないという考え方の方が可笑しいと思う。団塊の世代の引退で、2010年の失業率が1%を下回るという試算があるが、この形での失業率の低下は経済にとってニュートラルということは小生にも判る。しかし、最近の失業率の低下は、団塊の世代の引退を控え、世代交代のために前倒しで人材を確保し、育成するという動きが出ている。一時的に余剰人員を抱えることとなるが、今後の生産力確保のためには致し方ないことである。この点は経済にとってプラスであろう。

また、失業率の低下は人件費の上昇を促す。労働分配率の上昇は経済を活性化させる。会社にとってはコスト増であるが、家計所得の増加は個人消費を押し上げる。このことはデフレ脱却の助けとなることであろう。

先行きの回復を示した鉱工業生産指数

6月の鉱工業生産指数は前月比+1.5%(予想+1.5%)とサプライズではなかった。しかし、同時に発表された製造工業生産予測調査によると、7月は前月比▲0.2%、8月は同+1.9%。 6月の実現率は▲0.5%の低下であったものの、7月の予測修正率は0.5%の上昇となっており、先行きの回復を強く印象つける内容となった。勿論、この達成率が問題で、ここの所実現率のマイナスが続いていることは問題であるが、5月頃にあった日本経済の不安状況は明らかに払拭されたと言えまいか。

更に、よく注目される電子部品・デバイス工業であるが、在庫循環が進んだ。5月の反動の面があるが、半導体BBレシオの回復方向と重ねると、今後は順調に進捗し、当初シナリオよりは後ズレするが8月頃に陽転すると見ている。

週末の米国経済指標で注目は、シカゴNAPM

先週末はGDPも発表されたが、個人的に注目したのはシカゴNAPM指数。7月のシカゴ地区の米製造業景況指数(季節調整済み)は63.5と、2年ぶりの低水準だった前月の53.6から9.9ptの大幅回復と予想以上の堅調さを示した。1日には7月のISM製造業指数が発表されるが、堅調な数字になると予想される(先週末の相場で既に織り込んじゃいましたが)。一時は同指数が50割れが危惧されたため、ソフトパッチと言われる経済情勢下にあった米国経済であるが、一旦、回復を示していることとなる。

日本経済の先行き懸念として挙げられていた米国経済の失速が否定されたことは日本経済にとってもプラスであろう。

結論

ファンダメンタルズから株を売る理由はない。不安は郵政法案の行方のみ。8月5日を楽しみに待つという所が今週のテーマか。

浅い内容でサラッと記載致しました。こういう方が意外と良かったりすると良いのですが。

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チャートの有効性と非有効性

株式市場に限らず有価証券を売買する時に、市場価格の過去の履歴に一定の分析を加えて表示するチャートを有効と考える人は多いはずである。しかし、小生の会社においてチャートの有効性を過信する余り、チャートのみで相場の強弱を語る人物が存在する。チャートのみであるならば純粋で良いが、チャートの結果を元にファンダメンタルズ等の材料を歪めて見て相場を語ることは、極めて危険な行為に映る。以上を鑑み、チャートの有効性と非有効性を今記載のテーマとする。

ちなみに、チャートを過信する傾向が強いのは小生の経験から団塊の世代に多いように思う(トレンド重視の世代ということか)。

チャートの有効性

チャートとは海図という意味である。相場という海を航海する上で、現状の位置関係を常に把握するものである。航海をする場合にコンパスという方向を確認するものも必要。相場に置けるチャートとは、海図とコンパスを兼ねたものと考えてもらえば良いだろう。チャートの有効性はここにある。相場の方向性と位置を確認することができる。自分自身の位置と方向性を常に把握できているならば、仮に一時的に方向性を誤っていたとしても直ぐに修正が可能。チャートは、自身のポジションを映す鏡のようなものということである。

相場を観る時に、自身の思い込みに流されることなく、客観的な意見を持ち続けなければならない。この点にチャートは有用である。

もう一つ、チャートの有用な点としては、過去との比較を容易にすることである。現在の状況と似た状況の時を現在と比較し、状況の違いと値動きの違いから今後の相場の動きを想定することが可能である。かつてはこのようなことは、相場経験の長い人間の特権であった。しかし、最近はデータが整備されて、経験のない人間でも調べることが可能となっている。このような過去との対話は非常に有用である。

チャートの非有効性

チャートが有用でない点は、チャートにはタイムラグと騙しがあることが挙げられる。タイムラグとは、相場が下落トレンドから上昇トレンドに転じた場合、ボトムアウトしてから数日が経過してからでないとトレンド転換が確認できないことである。騙しとは、トレンド転換を示唆するシグナルが出た後、直ぐに元のトレンドに転換する場合に最初の方のシグナルのことである。

移動平均であるならば、タイムラグを短くするためには移動平均の2つの平均日数を短くすれば良いが、その場合には騙しが多くなる。一方、騙しがなくなるように平均日数を長くすると、タイムラグが大きくなる。これを踏まえ、最適な移動平均の日数を模索する人がいるが無駄な努力である。過去のシュミレーションが未来に適用できるかどうかは不透明であるからだ。自分が見慣れた平均日数を持続的に見ることが大切で、タイムラグと騙しはあるものと割り切って付き合うことが必要ではないか。

小生が入社した頃、同じく理系の人間が過去のデータ処理でチャート論からシステム売買を行うことが流行ったことがある。しかし、現在ほとんどがなくなっていることからも判るように散々たる結果であった。それは、相場が膠着相場である時に騙しが連続するという欠点があったためである。市場のボラティリティでシグナルの出方を変える等の色々なアプローチが取られたが、結果は同じであった。それは、過去に最も良いシュミレーションになる方法を採用したことがそもそもの間違いと考えている。相場を長く行えば行うほど、ゼロサムであることから限りなくゼロに近づいて行く傾向がある。従って、過去儲かったやり方を持続すると必ず損することがあると考えることが自然ではなかろうか。システム売買で儲けたいならば、過去に大きく損失を発生させるやり方を行うことの方が勝算があるように思う。つまり、過去儲かるやり方で計算されたシステム売買の逆を行うことが良いように考えた。

小生はシステム売買の逆を行うことで相当に儲かった。前回の続きのようであるが、逆指標となるものは非常に貴重である。

最近、理想的に読者が減ってきています。そう言えば、真面目にマクロ経済を語った記載がめっきり減っているためだと思います。そういうのを読みたい方もいらっしゃるかもしれませんが、記載するのが結構つまらないので、気が向いた時に突然記載したいと思います。

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悪夢を見る債券ストラテジスト

日銀ブラック・アウト・ルールとは、『各金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)から会合終了当日の総裁記者会見終了時刻までの期間は、原則として、金融政策及び金融経済情勢に関し、外部に対して発言しない』とされている。

最近、形骸化され、一部で無視されているこのルールであるが、27日の金融政策決定会合においてのルール違反は、債券ストラテジストにとっては悪夢に思えたことであろう。お昼休みに決定会合を終え、決定内容が伝えられた後、15時引け後の総裁会見を待つこととなっていたが、午後の寄付直後に、『早ければ秋口に物価指数がプラスに転ずると複数の意見があった』とのReuters報道が流れた。

消費者物価指数において、昨年の10月に電力料金引き下げの影響が物価の押し下げ要因となってきたが、本年10月にはこの要因が剥落し、逆に10月に電力料金及びガス料金の引き上げが見込まれている。この点を踏まえると、5月の全国消費者物価指数(コア)がゼロになっている(明日6月の数値がでるが)ため、当該報道は信憑性が高いと考えている。ちなみに、このニュースをきっかけに10年国債利回りは1.3%まで一気に売り込まれた。

ブラック・アウト・ルールが存在しているにも拘らず、日銀総裁会見前にこのような発言が漏れることを日銀が黙認していることはある種の意図を感ずる。後場寄り直後というタイミングも同様である。このため、”好需給”で支えられているとの錯覚から冷めるきっかけになってしまったのであろう。

期初に金利が上昇すると予想し、金利が下がってきたから今度は金利が低下すると予想を転換した債券ストラテジストが、また、予想が外れそうな気配になってきたため、この一連の出来事に『ルール違反だ』と声高に叫びたい気持ちになっていることだろう。

日銀の景気見通しを楽観的としてきた債券ストラテジストは多いが、彼らが悲観的過ぎるのではないかと考えている。明日鉱工業生産指数でその一端が伺え、翌月のGDPで確認できるだろう。ちなみに、4−6月GDPの市場関係者のイメージは若干のマイナスではないか、小生は最近のマイナーな指標から若干のプラスになりそうと見ている。悪いと思われていた4-6月が実はプラスであったというのは、先行きの楽観論を進め、悲観論を後退させるような気がする。

債券ストラテジストの悪夢はまだまだ続きそうである。

(債券ストラテジストをちょっとおちょくり過ぎかもしれません。しかし、当たり屋よりもはずれ屋の逆を行うことの方が確実性がたかいため、ご容赦頂きたいと思います)

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週末の本邦株式下落に想う

中国人民元の切り上げ、及び通貨バスケット制導入をきっかけに日経平均は調整局面入りとなった。材料を軽視していた訳ではないが、久しぶりに短期相場観を大きく外した。この反省の面を込めつつ、本邦株式市場が週末の急落を分析してみる。

株価の弱気材料整理

このところの株価に対する弱気材料を箇条書きしてみよう。

  • 郵政法案の参院否決の危惧(5日に判明)→政治的空白発生のリスク
  • ロンドン及びエジプトでテロ頻発→資金の質への逃避持続
  • 米中における資産バブル→金融引き締め持続で景気オーバー・キル
  • 5月中旬からの上昇相場で押し目形成なし→相場の腰が弱い
  • 中国元切り上げ→中国経済への不安台頭

中国元を巡る問題意外にも株式への弱気材料が存在する。深彫りには限界があるだろうが、一つずつ振れて行こうと思う。

郵政法案の参院否決の危惧(5日に判明)→政治的空白発生のリスク

郵政法案が参院で8月5日に議決される見通しとなっている。現時点において、否決される見通しの方が強いと言われている。参院で否決された場合、衆院で再審議となるが、この場合3分の2以上の賛成を必要とする。結果、廃案となる。

小泉首相は郵政法案が廃案になった場合、衆院の解散を明言している。また、衆院の郵政法案議決時点で反対或いは欠席した議員に公認を与えないということを自民党執行部は表明している。こうなれば、自民党は二つに割れることになる。更にややこしいのは、公明党が衆院の解散に反対していることである(小生はこの点を重視して衆院の解散に至らないとみている)。公明党の反対を押し切って小泉首相が解散を行えば、その先の衆院選挙で現自民党執行部系の自民党議員に対する選挙協力は行われない。自民党は分裂した上で大敗するという方向性が見えてくる。こうなった場合にどのような与党が生まれるかについては全く予想できない。

衆院が解散された場合、選挙の結果が自民党の大敗する危惧があるため、政治的空白が発生する。この点を株式市場は必ずネガティブに捉えるであろう。勿論、持続的に懸念し続ける訳ではないが、不安心理が高まった場合には一旦、売が先行するものであり、この点を充分に警戒する必要がある。

この材料は非常に危険である。

ロンドン及びエジプトでテロ頻発→資金の質への逃避持続

ロンドンで2度目のテロが発生し、その後にエジプトでテロが発生した。春先のGMショックが収まって来た所にロンドンでのテロが発生し、資金の質への逃避状況が持続している。これについては実体経済への影響が極めて軽微であることから徐々にその影響は小さくなってきていると考えている。

この材料については、この影響で株価が下落した場合には格好の買場と考えている。

米中における資産バブル→金融引き締め持続で景気オーバー・キル

この材料が一番読み難く、意見が割れている所であろう。それだけに色々なイベント毎に影響の出方が真逆になることも多いであろう。

米国においては、ここの所、長期金利が上昇傾向を見せている。短期金利引き締めの中での長期金利低下が限界に達していたこともあるが、先行きの景況感悪化を都合良く捉えていた面もあるだろう。長期金利と短期金利の関係が改善されたことで早晩、米国の住宅バブルは沈静化すると考えている。このため、利上げの打ち止めが程近いという意見を持続している。

中国においては、資産バブル過熱に対する金融引き締めを危惧する必要はないだろう。しかし、資産バブル過熱後のバブル崩壊の危険性は危惧される。中国政府は、インフレを抑えることのは不熱心で、景気維持の方に熱心であるからだ。勿論、資産バブル崩壊にならないようにソフト・ランディングを目指しており、その方向性は定かではない。

この材料において、少なくとも米国を危惧しなくて良いと考えられる為、中国が目に見えて悪くなるまでは神経質になることもあるまい

5月中旬からの上昇相場で押し目形成なし→相場の腰が弱い

最近、相場の上昇力が衰えていた。それは相場が上昇していたものの、押し目を形成していなかったため、不用意なショート・ポジションを巻き込むことがなかったためと考えていた。先週末の下落でそれができたため、次に上昇に転じた時には素直に上昇すると考えている。

この調整局面が予想外に下落するものなのか、予想外に長期化するものなのかこの点に対する確信は持てない。従って、今買うべきか否かの結論は出し難いが、少なくとも買場探しの状況になったと考えている。

中国元切り上げ→中国経済への不安台頭

中国元を切り上げたが、その幅は2.1%と小幅で影響が限定的である。にも拘らず、市場が大きく反応したのは、これが一時的なものではなく、持続性があることを感じているのではないか。

債券ストラテジストが「中国元の切り上げで中国経済への不安が台頭しており、少なくとも債券の売り材料ではない」と言っていた。なるほど、本邦長期金利は低下したため、そのような見方が全くの的外れとは言い切れない。しかし、大きな疑問を感ずるのは、中国経済への不安が台頭している場合には中国元の切り上げが出来なかったのではないだろうか。

5月の経済指標は成る程弱かった。このため、債券ストラテジストが景気の弱気、債券の強気に転換し、金利低下方向にバイアスを切ったため、全ての材料を景気の軟弱方向に見る傾向があると、以前『債券ストラテジストの罠』或いは『続・債券ストラテジストの罠』と評した。何となく、今回もそのような胡散臭さを感じないではない。

結論

待つも相場という状況か。来月GDPが発表されるまで調整局面が続く可能性を考えている。何度も指摘しているが、今回もその四半期サイクルを踏襲しそうな流れとなっているためである。従って、大きく下落した場合には押し目買で良いが、基本は一旦、様子見を薦める。

最近、依頼仕事が多く、それをこなすだけで手一杯なため、充分な市場の検証ができていません。気になる点が幾つかありますが、それが潰せていないことが気になっています。今、最も気になるのは団塊の世代の引退は相場にプラスかマイナスかです。一般的にはマイナス面で語られることが多いのですが、小生の知り合いのディーラーはプラスと判断しているためです。ディーラーは直感的に答えているため、それを論述的に転換することが小生には求められていると思うのですが、時間がかかっています。考えを纏める助けになればと、それ系の本も読みました。恐らく、皆が錯覚していることを転換するというのは結構、苦難の必要なものだと再認識致しました。

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先月同様、貿易統計で鉱工業(29日発表)を占う

21日発表の貿易統計から、輸出数量が前年比プラスに転ずる等、どちらかと言えば前向きな内容であった。注目のIT関連については、5月に引き続き前年比マイナス(確か1月から6ヶ月連続のはず)ではあったものの、マイナス幅は縮小しており、前月比ではプラスとなっていた。この点を踏まえると、6月の鉱工業生産指数で電子部品・デバイス工業は在庫調整が相応に進んでいるだろう(会社の資料では逆のことを記載していたりしますが、余り気にしないで)。

そう言えば日本及び北米の半導体BBレシオも大幅に回復していた。日銀総裁ではないが、先行きをそれ程悲観する必要もなかろう。

景気の懸念材料として、米中の景気、原油価格が挙がっていたと思う。米国は6〜7月に反発基調となっており、中国の失速懸念はあるものの、本日通貨切り上げに動き、景気の過熱を抑え、持続的な成長への期待がある。原油価格はピークを付けている。何が足りないというのだろうか、日経平均1万2千円には。多分、日柄かな。

残り一日もご無事で。ご武運をお祈りしております。

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『エコノミスト』の嘘

ここで言うエコノミストとは、週刊誌の『エコノミスト』である。小生は、足許で雇用情勢が回復しているので個人消費が堅調に推移するであろうとの見方を示しているが、同誌を読んだ人から異を唱えられた。

『失業率の低下は、就業者の増加によるものではなく、失業者のうちの一部が年金生活者やニートになることで非労働力人口となり、労働力人口から除外されることの影響が大きい(当方の加筆あり)』という旨が記載されているらしい。

当人はその活字を鵜呑みにしたようだ。5月労働力調査によると、就業者(季節調整済)は前月比で、4月+41万人、5月+42万人と2ヶ月連続でプラスなのですけど。更に非労働力人口は前月比で、4月▲37万人、5月▲36万人なんですけど。言おうと思ったが辞めてしまった。嘘から出た誠の如く、6月に4〜5月の数字を打ち消すような数字が出る可能性がゼロではないからだ。

ちなみに、6月も4〜5月と同様の数字が出た場合もエコノミストは相変わらずの主張なのであろうか?この点が一番気になる。小生としては突然、掌を返すのではないかと予想している。

平日につき、軽めの小ネタです。ちなみに、件のエコノミストの記事は先々週のもの及びそれ以前に複数回同様の記載があったそうです。就業者が減っている云々の記載については裏付のデータを記載して貰えれば、きっと小生に異を唱えた人も誤らずに済んだと思います。マスコミ関係者の方はこの点に配慮して記事を記載(チェック)して貰えればと思います。

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日経平均11,800台を売るべきか否か

今週は本業が忙しい上に歓送迎会が3回もあったため、当サイトでの更新を全くできなかった。株価が微妙な位置にあるため、小生の意見を聞きたいという奇特な方も存在したかもしれないが、まあそういうことなのでご了解頂きたい。従来論の延長線である程度類推できたと思うが、纏めを記載しておこう。

日経平均1万1千7百円突破の背景

6月25日記事『(続)足許弱・先行強の日本経済』で想定していた。以下に引用すると、

外国人の7月の買の背景を箇条書きにする。

  1. 株割安、債券割高状況からの株買・債券売を選択
  2. ヘッジファンドが利回りプラス化でリスク許容拡大
  3. M & A防衛策が制限される流れでM & A期待の回復
  4. 海外株との相対比較感で割安
  5. 世界的な金融緩和での金融相場への期待
  6. 株価、四半期初(末)高・四半期央安のサイクル
  7. 円安→増益→配当増→配当利回り上昇の好循環

一方、懸念材料は

  • 原油高持続
  • 米中景気減速傾向
  • 日銀の量的緩和解除への転換懸念
  • 政府の増税路線への傾斜懸念

勿論、懸念材料を買い材料が上回っている為、外国人が7月に買に動くと読んでいる。

以上がその時に記載した内容である。どうやらこれが正しかったようだ。前回記載の記事は些か弱気の虫が騒いだようである。6月25日の記事に沿って現状の株価上昇力を検証しようと思う。

株割安、債券割高状況からの株買・債券売を選択

財務省発表の対内対外証券投資(小生は取引所の投資主体別売買動向ではなく、こちらを見ている。理由は述べないので興味のある方は自分で調べて)によると、7月3日〜9日に株を4,249億円の買越、債券を1,227億円の売越で小生の予想を裏付けた。これは7月14日の8時50分に判明したことであり、直ぐに交流しているディーラーに伝えた。これが有用な情報であったことに説明する必要はなかった。尚、当該週の一回のデータで結論を確信することに抵抗がある人もいるだろう。偶々、これを知っていたとしても、材料を軽視する人間もいたかも知れない。そういう人間は、悪いが株での運用を諦めて投信でも買った方が良いだろう。細かく解説をしても良いがそれは別の機会としよう。

ヘッジファンドが利回りプラス化でリスク許容拡大

ヘッジファンドがマイナスからプラスになったことは各種報道ではっきりしている。この話を会社でした時に若手から「それがどうした」(丁寧語にて)と言われた。彼としてはプラス担った程度のリスク許容拡大は「大したことではない」と言いたいようであったので、極めて珍しく詳しく解説をしてあげた。半期決算がマイナスであった場合には投資家からの解約される可能性が高い。投資家が年前半をマイナスとなっていれば、その状況でも小幅ながら利益を計上しているファンドへ資金をシフトする。マイナス時の状況から考慮すると、債券のウェートの低いファンドから債券のウェートの高いファンドへ移行し、株から債券への資金移動が発生する。この程度は確かに大したことではないかもしれない。しかし、資金が引き出されるファンドマネージャーは一段の解約に備えて大目の現金を用意しようとして、株の売圧力と、新規に流入するファンドマネージャーの株の買圧力を比較すると、前者の方が遥かに大きい。また、7月を越えてそのプレッシャーから解放されると、抑圧的であったリスクを拡大させるファンドマネージャーも多いであろう。これを総合すると、リスク許容度の拡大は大したことではないと言い切れるとは思えない。

M & A防衛策が制限される流れでM & A期待の回復

6月下旬の株主総会の集中日を過ぎ、M &A防衛策が一部で否定される等、M&A期待が徐々に回復する流れとなっている。それよりも2月以降にM&A期待が盛り上がり、その後4月に期待の反動である失望安となっていたが、日柄を経過したことで失望が薄れてきたことの方が今の所は大きいのかもしれない。今の所はそれ程大きな流れではないと考えられる。但し、一段高を期待させるものであり、付随するなんらかの材料が出た場合には一旦、乗った方が良さそうだ。今、外国人が買って利益を狙うならば、そのような材料をリークして相場を煽る可能性があり、そのような話に日本人は極めて熱狂し易いからである。

海外株との相対比較感で割安

これについては海外株が先行して上昇する一方で、日経平均が1万1700円近辺でもたついた。これにより、本邦株式の割安性が高まっており、短期的に日経平均が上昇し易い状況となっている。海外株がさらに上昇するならば、日経平均の上昇も持続すると考えて間違いなさそうだ。

世界的な金融緩和での金融相場への期待

この材料は転換した。6月FOMCで期待された利上げ打ち止めはなく、米国債は4%割れから4.2%近辺に上昇している。金融相場への移行はならなかった。しかし、これは米国経済の堅調さから来たものであり、業績相場への期待感を高める結果となった。最近の好決算発表で株価が素直に上昇することも先行きの懸念が薄まっていることが背景にはあるに違いあるまい。

株価、四半期初(末)高・四半期央安のサイクル

これについては、どちらかと言えば今後8月中旬にかけて株価下落材料となる。しかし、それはあくまでも株式の処分売が出易い状況においてであり、株式市場に資金が流れている現在においては、上昇を阻害する要因になるか否かという所であろう。場合によっては、四半期央まで株価上昇が鈍く、それ以降に上昇が加速するという超強気のシナリオも考えられる。まあ、このてのサイクル論は大きな波の前には常に無力であるため、余り気にしないことにしている。

円安→増益→配当増→配当利回り上昇の好循環

そう言えば、どこぞのストラテジストが同じようなことを言っていた。取り合えず、円安まではシナリオ通りであり、これが増益につながるか否かを確認する状況であろう。7月下旬の企業決算が好調かどうかで確認できる為、好調と見るならば買ということになる。これについては予想し難い面があるが、小生ならば余力を残して今購入して、業績の増益が確認できた場合には追加買を行い、直ぐに利食い売を入れ、増益が確認できない場合も追加のナンピン買を入れ、相場上昇を期待するというイメージでいる。いずれにしても買であるのは、増益に波及することが時間の問題と考えているためである。

(懸念材料)原油高持続

7月7日にWTI原油先物は62ドル台に上昇したが、流石にトレンドラインからの乖離が大きく、一旦利食いの流れとなっているようだ。調整入りのタイミングが良く、足許でのフォロー材料であろう。原油上昇相場に回帰すると思うが、今後は上昇が鈍るであろう。現に天然ガスやヒーティング・オイルの在庫が増えており、過熱感は後退してきている。一部には原油バブル崩壊を予告する声まで出ている。大きな危惧を持つ必要はなさそうだ。

(懸念材料)米中景気減速傾向

中国のことは判らないが、米国景気減速は5月単月の落ち込みで6月は回復しており、7月についても15日発表の7月NY連銀指数(景気の分かれ目±0)が23.9と予想10.0、前月10.5を大幅に上回り、7月の数字も良さそうである。加えて最近の株価上昇は個人消費のセンチメントを強くする。6月の回復は一時的な材料と見ない方が賢明であろう。

(懸念材料)日銀の量的緩和解除への転換懸念

一時当該材料で本邦長期金利を上振れさせたことがあり、債券ストラテジストが何度も金利上昇を説いてきた。1日発表の全国消費者物価指数(除く生鮮食品)が前年同月比+0.0%と久しぶりにマイナスを脱したことからも懸念される材料である。しかし、日銀は恐らく、物価上昇に転ずるまで静観するであろう。下手なことを行うよりも物価上昇してから迅速に行動した方が良いと思っており、予防的措置については経済変化を市場が織り込むことに委ねると考えている。裏を返せば、日銀の声が小さくなっているのはそれだけ物価がプラスになることに自信を持ったということではないか。

(懸念材料)政府の増税路線への傾斜懸念

政府税調でそのような方向性が示されていた。その時のアレルギーを考えれば一旦、沈静化するものの、財政情勢を考慮すれば燻り続けるだろう。現在、郵政法案絡みでこれが日本売りに至るという危惧がある。郵政法案で仮に解散されるとすれば、一時的には株の悪材料であるが、増税路線の封印が続くという面で見れば一方的に悪い話ではない。景気の腰を折らないように株式投資家は、増税への反対及び歳出削減を要求し続けると良いだろう。

結論

日経平均株価指数は15日に3月末の水準を越えた。小生はこの水準を越えること及び越え方でトレンドを見極めることにしている。現在のトレンドは上昇方向であり、後は何時買うかという問題だけなのではないか。7月中の1万2千円という所も視野に入ってきた。その状況から強気になる人間も多いと考えられる為、その後の上昇で一段の買材料が入り、クライマックスを迎えた所を売りたい。

最近、相場を外しているとは思わないが、完全に見えているとは言い難い状況が続いています。債券ストラテジスト程ではありませんが、本邦長期金利の見通しが外部環境に素直に反応せず、債券の需給関係という曖昧なものに支配されていることも一因だと思われます。債券の投資家が客観的に事実を見て売買するならばこのようなことにはなりませんが、自身の都合により事実関係を曲げて見る傾向があるのではないでしょうか。まあ、そういう人は絶対に儲かりませんので、その逆をやるだけで暫くは食うに困ることはないでしょう。しかし、休日にここを見る人は皆無です。小生もこんな面倒なものを読むよりも享楽なサイトを見ますので。平日には最新記事を見れなくするということはアイデアとして面白いかもしれません。検討して見ることと致します。

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テロの影響と今後の株価

7日にロンドンで発生したテロの影響は、8日の市場から限定的なものとなった。影響が軽微となった理由と今後の予想を試みる。

テロの影響が軽微となった理由

結果が出たと言い切れないが、今回のテロは9・11のテロの時を大幅に下回りそうだ。この理由は以下の通りと推定している。

  1. テロの規模が9・11を下回った。
    (特に市場閉鎖の恐怖までは至らなかった)
  2. 同じ材料でも2度目以降は慣れが生ずる
  3. 同種の材料と言えるGM・Ford問題で質への逃避が発生していた
  4. 株価の上昇圧力がネガティブなセンチメントを上回った

推論であるため、細かな解説は控えるが、今後の株価においては以上の3〜4が重要となろう。

今後の株価について

テロの影響が限定的であったため、上昇トレンドが消失した訳ではない。しかし、従来から触れている上値抵抗である前期末終値の抵抗力が増したと考えている。つまり、株価は方向観を無くし、レンジ内の動きを強めるであろう。7月中の上昇シナリオとして注目していた米国雇用統計は、今後の方向を指し示してくれなかった。ヘッドラインである非農業部門雇用者数は+14.6万人(予想+20.0万人)である一方、失業率5.0%(予想・前月ともに5.1%)と改善。事業所調査(非農業部門雇用者数)と家計調査(失業率)の格差が拡大する結果となった。米国債券市場は家計調査側に反応して利回りが上昇したようだが、景況感悪化を織り込み過ぎていた反動で上昇した面があり、実際は結論の先送りということであろう。

8日機械受注は、ヘッドラインである船舶・電力を除く民需は前月比▲6.7%(予想▲2.0)で、8日の市場はこれに反応したと解説されていた。そういう面を全く否定するつもりはないが、テロを受けて株価下落・金利低下を予想していた向きが寝て起きると落ち着いてしまったため、特にディーラーにフラストが溜まっており、午後に出たこの指標に乗って前日のイメージを実現させたという所であろう。5月の本邦経済指標が悪かったことは既にはっきりしており、これが6月も持続するかどうかが問題で、機械受注の結果を重く考える必要はないだろう。6月の米国経済情勢は良好であり、この点から6月以降に本邦経済指標が回復する可能性は高いと考えている。但し、6月の米国経済の好調さが持続するか否か。ここに自信がないのが確かで、上値の抵抗が強まったとイメージすることが正しそうだ。

日経平均1万1千700は、小生にとっては鬼門になっている。(それでも、債券ストラテジストよりはましだろう)。

先週は大変疲れました。ネタがないわけではないのですが、従前のロジックの補填に軽めの記載とさせて頂きました。記載を始めて丁度1年が経過いたします。5月頃からしか統計をとっていませんが、最近のヒット数は連日三桁に達しており、5月以降の平均は一日70まで上昇しています。情報提供は当たり前になると有難味が薄れるため(会社で経験済み)、突然、辞めてみることも一興かなと考えている今日この頃です。

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7月の上昇相場の前提条件が崩れた!

小生は7月の株式上昇相場のシナリオにおいて、一つの前提条件を置いていた。「世界的に株価は債券に比して割安であり、早晩債券市場から株式市場に資金シフトが発生するだろう。但し、テロの存在がこの資金シフトを阻害する可能性がある」。つまり、英国で発生したテロにより、7月の株式上昇相場のシナリオが崩れたのである。

慌てて9・11の時のデータを集めた。日経平均で200円程度は下落しそうだ。雇用統計を待つこと勧めておいて申し訳ないが、一旦腹を括るしかなさそうだ。

債券は寄で買われて1.2%割れの水準は機械的に売って良いと考えている。株については、日経平均で300円以上下落したら難平(ナンピン)買をお勧めする。当然のことながら、ポジションのない方は売買の自粛をお勧めする。不幸な方の冥福を祈ることが良いと思う。

ポジションのある方で逆風になった方へ、歯を食いしばって頑張ってください。テロに屈することのないように!小生の発言が無責任とお感じになられたとするならば、申し訳御座いません。ただ、長く相場に携わるとこのような局面は必ずあり、このリカバリー作業が後日の血肉となるに違いありません。小生の経験より。

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外国人のスタンス変更を危惧

小生のシナリオによると、外国人は世界的(当然、本邦市場においても)に株買・債券売に動くと考えていた。しかし、材料的に軽視していた郵政民営化法案の衆院採決が想像よりも小差になったため、本邦市場においてのみ冒頭のシナリオを変更する必要が生まれた。具体的には、既報の通り“日本売”を心配しなければならなくなったということである。今更であるが、当サイトは個人投資家を読書に想定しているため、“日本売”を説明すると、本邦株、本邦債券そして円を売却することを意味し、日本市場から外国人が資金を引き上げることとなる。この種の動きは、政治リスク(選挙等)や地政学リスク(北朝鮮情勢悪化等)で顕在化するものであり、事前に予想することが難しいと思われる。

話を戻そう。外国人の動きから7月の株高・債券安(金利上昇)を想定していたが、外国人の日本売の動きから株横ばい・債券一段安を考慮しなければならなくなった。株が下落とならない理由は、日本売の場合には円安進行となるため、輸出株を中心に下落し難い面があるためである。1万1,700円が一旦、重くなったかもしれない。

但し、7月に株価が上昇する可能性がない訳ではない。8日発表の米国雇用統計に期待を寄せている。週時発表の新規失業保険請求権数から推定すると、前月の弱めの数値から回復することは間違いなく、場合によっては予想比上振れする可能性もある。一応、当該数字を確認してから、今月の戦略を立て直しても良いだろう。

人気の平日恒例の軽めの内容です。今週は余り、吟味すべき材料がないため、世の中も雇用統計待ちとなるでしょう。

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続・債券ストラテジストの罠

以前『債券ストラテジストの罠』という記事を記載した。4月以前に予想した債券利回りの予想レンジの下限に縛られ、実態よりも景気が強いと主張する傾向にあり、そのことにより、投資家は景気の状態を正しく認識できない可能性があることを示した。6月で四半期が終了し、債券ストラテジストは予想レンジ改定に動く、これに伴い新たなる罠が用意されているように感じられる。そのことを中心に、最近の経済情勢について纏めてみる。

債券ストラテジストの判断ミスと債券投資家の苦悩

多くの債券ストラテジストは、4月以前の予想で長期金利(10年国債最長期物利回り)の下限を1.20%としていた。6月下旬に、米国長期金利が4%を割り込んだこと等をきっかけに、この1.20%を割り込み、先週は一時1.165%まで低下した。債券ストラテジストが1.20%にレンジの下限を置いた理由の一つとして、同水準が長期金利のチャート上の強力な下限水準となっていたことが挙げられる。一般的なチャート論において、このような強力なポイントを抜けた時には、抜けた方向へのトレンドが発生すると考えられている。これに従えば、長期金利は中期的な低下トレンドに入ったと考え、レンジを修正することとなる。新たなるレンジのコンセンサスは不明であるが、次の下限ポイントが心理的な1.0%にあることから、1.0%〜1.4%となると予想している。

債券投資家の多くは、債券ストラテジストの考えか、自身の考えか更にはその双方の考えかに従い、4-6月期に債券を必要な額を購入できなかった。例外的に購入できていた投資家種別は外国人である。7月以降、国内債券投資家はそのスタンスを変更し、長期金利が低下したにも関わらず、債券を積極的に購入しなければならないとのジレンマに陥りながら今後の債券投資計画を変更して行かなければならない。小生もかつてポジションを持って売買をしていたことがあるが、敗戦処理とは非常に辛い作業である。恐らく、今年度中に彼らは苦悩を抱えながら行動することになるだろう。そして、債券市場は彼らの苦悩の上での行動に振らされることとなるだろう。

続・債券ストラテジストの罠

債券ストラテジストは、自身のプライドと保身のために自己弁護的な行動に出るであろう。具体的には長期金利が低下する方向へのバイアスを強めることになる。このバイアスが新たなる債券ストラテジストの罠であり、『続・債券ストラテジストの罠』と名付けた。どのような場合にも言えるが、客観性を無くし、色眼鏡で見られた分析程、害悪なものはない。まあ、これについては先日記載した『債券ストラテジストの罠』である程度ご理解頂けたのではないか。今後の彼らのコメントについては、話半分程度の理解に止めることをお勧めする。最も、それは何時も必要とされることではあるが。

債券ストラテジストが金利低下を主張する背景は、以下のものと考えている。

  1. 日本経済が減速傾向を強めている
  2. 量的緩和解除が遠退いた
  3. 4-6月で購入できていない国内債券投資家の買

それぞれについて、個別に検証しようと思う。

日本経済が減速傾向を強めている?

29日発表された鉱工業生産指数について、先日記事を記載した。これを背景に日本経済の景気減速論を強めている面が見られるが、小生は疑問を感じている。5月単月の数値で一気一憂するべきではないと考えている。電子部品デバイス工業は今まで順調に在庫調整が進んできており、5月で停滞ことを過大に評価して“流れが変わった”とすることは時期尚早ではなかろうか。その可能性は否定しないが、小生は6月貿易統計で当該製品の輸出がどの程度伸びたかを確認してからでも遅くないと考えている。

一方、1日に発表された日銀短観は、経済情勢の順調な回復を示したと考えている。ヘッドラインの大企業製造業の業況判断指数DIが+18(予想+16、前回+14)と予想比上振れしたこともあるが、2005年度の全規模・全産業の設備投資計画(ソフトウェアを除く)は、前年比+9.4%と前回調査の+4.8%から上方修正となっていることが大きい。更に注目すべきは、この日銀短観における想定為替レートが2005年度で103.95と前回104.52から一段と円高方向にシフトさせていることである。足許で為替レートは111台に上昇しているにも拘らず、円高方向にシフトしている理由は、中国元に絡み先行きに円高に振れることや、貿易黒字拡大による円高移行を見込んでいるため、これらの懸念材料が実現したとしても予想通りの数値となる。当然のことながら、企業が危惧する円高が実現しなかった場合には年度後半に更なる数字の上方修正が期待できることを孕んでいると言える。

一部の債券ストラテジストは、企業の先行きの期待感が実態を反映していないとして、日銀短観が信用できないとの論を示していた。小生にとっては、債券ストラテジストよりも企業の担当者の判断の方が信頼性が高いと考えている。企業の担当者は、慎重な判断をすることの方が多く、裏付がない限り数字の上方修正には慎重な傾向が強いと思う。ある種のバイアスであるが、景気に対するマイナス面での現れ方をする点を踏まえると、その堅調な数字は信頼に値するのではないか。

量的緩和解除が遠退いた?

きっかけとなったのは、23日の武藤日銀副総裁の発言で『金融政策運営については、経済がバランスのとれた持続的な成長過程を辿る中にあって、物価が反応しにくい状況が続いていくのであれば、余裕をもって対応を進められる可能性が高いと考えられます』との表現等から、2006年度中の量的緩和解除も簡単ではないという印象を与えたことにある。

しかし、纏めの文章を読む限り、当該表現は量的緩和解除(或いは別の枠組み設定)後の金融政策について述べたものであることや、市場性の回復の重要性に触れていることから、何らかの変化がある可能性否定できない。

小生は、2006年度中の量的緩和解除は無理であるとの主張をしているが、一方で市場性の回復から日銀の国債買切オペを減額すべきとも主張している。長期金利が1%前半に低下して影響が軽微となることを考慮すると、”新たなる量的緩和の枠組み”を行うタイミングとして最適であることから、むしろ注意を高めるべきではないだろうか。

最も理想はそうであるが、現実には景気回復傾向が明確になるまで何もできないということになるだろう。但し、景気回復次第で2006年度中の量的緩和解除論が復活するということは頭に入れておいた方が良いだろう。

4-6月で購入できていない国内債券投資家の買?

買っていなかった国内投資家が買に回るということで債券の需給関係がタイトになることは間違いない。しかし、購入していなかった国内投資家は、本当にスタンスを丸っきり変更して、金利が低下後に積極的に購入するだろうか?もしそのような投資行動を行おうとしているならば、担当者を外れた方が良いだろう。証券会社は購入できていないことを知って、あの手この手で金利低下を煽り立てるであろうが、それに乗ってはいけないことは経験が示している。国内投資家が取るべき行動は、購入出来ていない額と9月までに購入しなければならない額を計算し、その額を7月、8月、9月に三等分して購入することであると考えている。所謂、“平準買”と言われる手法で、チャート論や経済分析を全く無視して機械的に購入するものである。こうすることで、少なくとも7月に一気に購入に動くよりも債券市場への影響を抑えることができるため、大手投資家はこのような手法を取るだろう。

結論

債券ストラテジストは新たな過ちを起こす可能性が高いと考えている。小生は6月20日頃から、7月の長期金利上昇シナリオを想定している。これについては読者の皆様が目にすることはない。ご興味があれば前述の記載をヒントにご自身で推理して頂きたい。

このように重たい内容よりも相場材料を簡単に解説した方が受けることは存じ上げています。しかし、専門家と呼ばれる人々の嘘を見抜くためには、小生のこの判り難い内容を読むことが役立つものと考えております。ということで、ご面倒でしょうが、偶にはこのようなものを読んで見て下さい。

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ISMに救われた株価上昇シナリオ

小生の主張していた6月30日のFOMCで利上げ打ち止めは見送られ、FF金利を3.25%(+0.25)への引上げと同時に従前の”慎重なペース”での利上げ継続が声明文に盛り込まれた。端的に言えば、予想は大きく外れた。しかし、ここから裏シナリオが発動することとなった。

FOMC開始以前に発表された米国経済指標は総じて景気減速を示すものが多かった。にも関わらず、利上げを強行するには理由が必要であった。想定できる理由として、

  1. 住宅バブルを沈静化させるため
  2. 原油価格上昇によるインフレ懸念
  3. 景気減速を否定する材料の存在

以上3つを考えていた。

『住宅バブルを沈静化させるため』という理由を前面に出した場合、景気を犠牲することになるため、株価は下落することになっただろう。これについては、デフレに逆戻りする危険性と財政赤字解消というテーマの前に現在の住宅バブルのレベルでは必要ないと考えた。また、景気を犠牲にすることを明確にすることで長期金利の低下傾向が持続することになり、逆効果を与える面もあった。

『原油価格上昇によるインフレ懸念』という理由での利上げ継続はないと考えていた。原油価格上昇は企業収益の低迷を招き、むしろ利下げの必要性を迫るものであり、この理由は採用できないと考えた。

結論として、『景気減速を否定する材料の存在』がその理由として妥当と考えた。FRB議長は一日前に経済指標を見ることができる。30日のFOMCの結果発表前に、1日ISM製造業指数を確認していたはずである。今回のFOMC声明文にはインフレ鷹派的な表現が盛り込まれていたため、ISM製造業指数が上振れする可能性があることは想定できた。

6月ISM製造業指数の内容

6月ISM製造業指数は、53.8(予想51.4)と5月の51.4から7ヶ月ぶりに上昇した。景況感の分かれ目である50を割り込んでいないことも加味すると、6月に利上げ停止を見送り、結論を8月に持ち越す時間的な猶予が生まれたと見ることは妥当であろう。8日発表の雇用統計も気になるが、今の所、前月の軟弱さから一旦、リバウンドする可能性が高いと見られており、現時点で利上げを見送る妥当性の方が低い。ちなみに、小生は雇用統計が更なる株買材料となることを期待している。

ここの所の記事の記載で結果的に読者を欺いた格好となったことは申し訳ない。しかし、小生が考える全ての可能性を記載すれば、恐らく膨大な量となり、多くの人が処理不能に陥ることは間違いないと考えており、結論が正しければ多少の嘘も許して欲しいと思う。

日本の指標も色々出ているため、その分析も加味した記事も考えましたが、恐らくこのような記載の方が読みやすいのではないかと考えました。今週末に力が残っていれば、別建てでそれらは記載することと致します。

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