« 2006年9月 | トップページ | 2007年5月 »

日銀の追加利上げにYESと言えない専門家

日銀の追加利上げについて否定的な意見が多い。その多くは、”デフレ脱却していないから”と言う理由である。しかし、デフレを脱却(物価上昇率が上昇)しないと利上げをしてはならないのか。その点を踏まえて私見を記載する。

■ 消費者物価指数という経済指標について

以前にも記載したと思うが、消費者物価指数は金融政策を変更する時に重視することに不適格である。諸外国において、当該指標をベンチマークとするインフレ・ターゲッティングが成功した例を存じているが、ここ日本において適応することに違和感を感じている。

諸外国と日本の最大の違いは労働市場の柔軟性である。日本の場合、不景気となったからと言って直ぐに労働費用を減らすことができなかったことと同様に、好景気になってものなかなか賃金が上昇しない。これは新卒者採用に偏重する等と日本の労働市場に柔軟性がなく、また転職が難しいため、労働者が好景気になっても低い賃金に甘んじる傾向があるためである。

1月に追加利上げを見送った理由として、個人消費の低迷を挙げられていた。その最大の要因はこれだけ好景気が持続し、企業収益が回復しているにも拘らず、賃金が上昇していないことに尽きる。賃金が上昇しないから、消費が低迷し、消費者物価指数も上昇しないという構図がある。

現在、景気の遅行指数である完全失業率は4.1%と金融恐慌不安のあった時代以前の平常な状況に戻りつつある。団塊世代の引退を経て、失業率は低下し、そのうちに賃金は上昇するだろう。恐らく、消費者物価指数はその後に上昇し始めるだろう。

そのような超遅行指数である消費者物価指数で物事を判断することが正しいこととは思えない。

■ 意外と理想的な現在の状況

今、足許の状況に不満がある人はいるだろうか。勿論、絶対的なものではなく、数年前の量的緩和政策の時との相対的な比較感でそう考える人はいるだろうか。給料は上昇していないが、物価はほぼゼロ。景気はまずまず好調。下がっていた株と土地の価格は大きく戻している。

下がっていた反動であるから、多少良くなったとしても元に戻っただけ。という意見もあるだろう。そうであるならば、金融政策もある程度元に戻す(正常化議論)必要性があるのではないか。

何よりも金融政策は好景気を長く、不景気を短くするためにコントロールされるべきである。現在の好景気を長く持続させることが何よりも重要であり、物価が上がるかどうか等と言うことはそれ程重要なものではないと小生は考えている。

景気を長く持続するためには、緩やかな金融引き締めを行うべき局面と考えている。

■ 日銀が0.25%利上げして沈む企業があるか

日銀が追加利上げを行えば、景気が減速する或いはデフレに回帰するとの宣伝を行っている政治家、経済学者及び新聞社が存在する。では問いたい。現在の景況感は日銀が0.25%利上げすることで崩れてしまうほど脆弱なのか。

そうであるならば、今の景気回復は日銀が行ってきた量的緩和政策やゼロ金利政策などの金融政策に効果があったからだということになる。しかし、景気回復の原動力となったのは金融政策や政府の経済政策があてにならないと考えた企業の自助努力によるものだと確信している。

景気回復を持続させるためには、企業の自助努力が継続するような形にしなければならないのではないか。意図的に好景気下で金融緩和を持続して、資産インフレを形成したり、”弱い円政策”よろしく、円安に誘導することが企業の自助努力につながるであろうか。恐らく、邪魔になるだけであろう。

単に企業が自助努力を怠るだけで済めば良いが、円安政策と資産インフレの形成が限界を超えて進んだ場合、その反動の経済的な落ち込みは計り知れない。これは皆さん良くしっているのではないだろうか。

少なくとも0.25%程度の資金負担コスト増を計算していないような企業はなく、また、かつての急激な円高局面等に比べれば軽微な問題であることは言うまでもないだろう。バブル崩壊を招いたような急激な金融引き締めは問題であろうが、緩やかな金融引き締めが問題になることはないと確信している。

■ 政治家が金融政策に注文すること

これって、日本の国力を増加させる政策を持っていないことを示しています。そんな政治家を選んでしまったこと、また大声で批判できなでいることに情けなさを感ずるところです。

久しぶりに記載致します。記載するきっかけはネット・サーフィンしていたら、小生の当該頁をリンク先に含んでいる方を見かけたからです。その方が読んでくれるかどうかは不明ですが、今の考えを率直に記載いたしました。
尚、小生は日銀が1月に利上げを行うと夏ごろから考えておりましたが、見事に外れてしまいました。2月に利上げすればニアピンかもしれませんが、外れは外れです。ただ、足許の近い将来で、日銀は利上げすべきと考えています。それが当たる保証はありませんが、日銀が利上げしなかった場合、日本は大変なリスクを背負い込むため、資産運用が難しくなる時代が到来することになると考えています。また、次回も不定期に更新いたします。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

« 2006年9月 | トップページ | 2007年5月 »