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米国長期金利急上昇の背景とその影響

 毎度のことであるが、本ブログのタイトルは日本経済であるが、今回、米国のことを取り上げることとする。米国長期金利(10年国債利回り)が5.10%に急上昇し、日本の長期金利の上昇要因となると同時に世界の株価の不安定要素として台頭して来たためである。残念ながら、日経新聞等のメディアからその充分な背景や理由が示されていないように感じられる。以下の分析は小生の私見によるもので、多分に誤解した部分もあろうが、これを共有することで先行きの影響を議論する助けとなると自負するものである。

□ ビル・グロスの敗北宣言

 日経新聞等では、米国の金融政策が足許で緩和されるとの見方が撤回され、当面の間利下げが実施されない(現在、年内の緩和がないということがコンセンサス)との見方が台頭しているためとの解説がなされている。これは間違いとは言わないが、充分な見方とは言えないと考えている。本ブログで幾度が紹介しているが、ビル・グロスが自身の見方を変更したことが大きく影響していると考えている。

 ビル・グロスの新たな見解についてはこちらを参照して頂きたい。これによると、米国長期金利のレンジは、4.0%~6.5%。従前のレンジ上限が5.5%であったこと及び数ヶ月前に第2四半期の米国利下げを予想していたことを踏まえると、債券相場に対して大幅に弱気に転じたと言って良い。その理由は、この見解の中でも触れられているようにグリーンスパン元FRB議長とPIMCOがコンサルティング契約を締結した影響があるだろう。彼は、サブプライム問題等の米国不動産問題からの景気減速を指摘すると同時に米国のインフレが思いの他沈静しないことを指摘してきたと記憶している。その考え方がPIMCOの戦略に影響を与えたことは想像に難くない。

 PIMCOは債券ファンド会社であるため、方針を変更したということは、大量に米国債を売却している可能性が高いと考えている。米国の政策金利が5.25%であることを踏まえると、これを下回る米国10年国債等で運用することは金利低下が前提となり、不利である。PIMCOの大量売が米国長期金利を大きく押し上げたものと考えている。尚、PIMCOは日本国債も売却しているとの噂が流れていた。世界中の債券を売却しているとするならば、これが吸収される水準まで金利は上昇し続けることとなるだろう。

□ 米国長期金利上昇の影響

 米国長期金利は目先上昇する可能性が高いが、政策金利の5.25%が一旦、上限となるだろう。それ以上上昇するためには、逆に利上げ懸念が台頭する必要があり、米国経済はそこまで力強い訳ではないためである。米国の住宅事情の懸念もあるが、足許で米国の自動車販売がやや落ち込んでいることを懸念材料と捉えているからである。

 米国長期金利が5%を越えたことで、株式運用の優位性は低下するだろう。特に先進国の株式運用を行うよりも債券運用を行った方が有利であるとの考え方の台頭に苦しみ、株価の重しとなると考えている。但し、新興国株式については優位性が保たれる可能性がある。グリーンスパンが中国株がバブルであるとの指摘をしており、暴落のリスクがあるが、上昇することでこれらの懸念が払拭され、新興国株式へのリスクに投資家がドンドンと鈍感になっていくためである。日本のバブルを経験した身で言えば、バブル崩壊の直前の相場が最も上昇するものである。本格的に各国が金融引き締めに進まないことが条件ではあるが、現状のようなスローな金融引き締めである限り、下落に転ずるまでの時間は相応にあると考えている。

 日経平均の今後の行方は難しい。米国金利上昇を背景とすれば円安方向が持続しそうであるが、金融引き締めによる世界経済の減速懸念が付きまとう。何らかのきっかけで急落した所は広いたいが、1万8千円以上を積極的に購入しようという気分にはならない。但し、バブル後安値の戻り相場であることや世界経済がそこそこ好調で円安推移となっていることを踏まえると、年初来高値を越える局面もあるだろうと考えている。年末の居所はわからないが、押し目を買って1万9千円近辺からは降りたいという戦略イメージを持っている。

 正直言えば、足許の日米長期金利上昇を全く予想していませんでした。日本の長期金利については上昇すると見ていましたが、1.8%で一旦、止まると考えていた面では少なからずビル・グロスの従前の予想に引っ張られていたのかもしれません。世界経済で徐々にスタグフレーションの懸念が強まっていることが気になっています。個人資産は問題ないのですが、会社の業務上で好ましくない方向が気掛かりです。そろそろ転職でも考えようか、と思う今日この頃です。

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