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最近の株高(日経平均1万4千円台)について

日経平均は、サブプライムローン懸念で低迷したことを忘れる程上昇し、5月2日に上値の抵抗であった1万4千円台を超えて終了しています。トレンドが変わったのか、レンジ内での上昇に止まるのか、見方が分れる局面であり、小生なりの考えを纏めます。

□ ファンダメンタルズとの乖離

米国がそうであるように本邦においても景気減速が鮮明となっている。3月鉱工業生産指数は、前月比▲3.1%・前年同月比▲0.4%とマイナス方向となっている。これに反して株価が上昇している理由は以下の2つに大別されよう。

  1. 年後半からの回帰回復を見込む
  2. ファンダメンタルズと企業業績が乖離

まず1において、年後半の回復を見込むことはどうだろう。米国が金融緩和したことで米国がある程度回復するとは考えているが、一方で新興国特に中国の急落懸念があり、これが足を引っ張りかねない。何となく、楽観論の域を脱していないと考えている。

次に2において、ファンダメンタルズが企業業績悪化に影響を与えるものではないものの、中長期的に影響を免れない。最近、グローバルで活躍する企業が多く、日本経済(景気)に影響される度合いが少なくなっていることは認めるところではあるが、日本経済自身も独自性が薄まり、世界経済に引っ張られることが多くなっている。これらより、ファンダメンタルズの悪化は企業業績を何れ悪化させると考えることが妥当であろう。

以上を踏まえ、ファンダメンタルズ面から現状の株価は是認できないと考えている。

□ サブプライム問題は解決したか

少し前、英国中央銀行からサブプライム問題で市場が悲観的過ぎるとのレポートが出ていた。このことが株価上昇のきっかけになっていると思う。その点の是非が問題であろう。

サブプライム問題で各銀行が損失を隠匿し、実質的な過小資本に陥っているのではないか、という市場の疑念がある。これについては英国中央銀行のレポート通りであると考えている。また、そのような危険に陥った場合、各国政府は資本注入等の適切な処置(ベアースタンズを前例)が行われるため、サブプライム問題からの金融危機は発生しないと考えている。この点からもサブプライムローン問題が峠を越えたと考えることは間違いとはいえないだろう。

但し、サブプライムローン問題は完全に解決方向に進んでいるとは考えていない。各銀行は毀損した資本を中東等から調達した。その調達コストは年率10%前後の高いものである。ある意味で欧米銀行の収益の大半が中東等の資金の出し手に吸収される状況となったと言え、一般的な株主がそのメリットを享受することはできないだろう。
また、サブプライムローンで挙げていた収益を今後何で挙げるかということも問題。資本が減少したこともあり、取得リスクが制限される中、それ程、大きな収益を挙げられるものはないだろう。

以上を踏まえると、サブプライムローン問題は小康状態に入ったと見るべきで、下落要因ではないが、上昇にまでは至らないということがとりあえずの結論。金融株が上昇しているが、これらは一過性に止まるとの見込み。

□ 日本市場のりそな銀行以降の再来となるか

株価が上昇するとすれば、日本の株式市場がそうでだったように、公的資金による銀行資本への資本注入がきっかけになるだろう。ベアスタンズの救済劇やソブリンウェルスファンドの資本投入もある意味も同様と言えるかもしれないが、個人的にはややインパクトに欠ける面がある。
以前にも記載したが、公的資金導入は政府によるデット・エクイティ・スワップであり、債券から株価への資金移動を促す。このことが株価上昇につながる。

公的資金導入が株価上昇を促すためには、株価上昇の背景となる業績向上が背景として必要である。この点を考慮すると、株価が業績に比して相当に割安になっている必要があり、この点でも上値を追う材料とは言えないであろう。

□ 結論

残念ながら、株価上昇を見込むには材料が不足しているということが結論。ドル安是正が続く等の追加材料が必要で、上値追いは手控えた方が賢明と考えている。暫くはもみ合いか。

今回で復帰2回目となります。市場リサーチが十分でないため、仮定に仮定を乗せている部分が多く、市場が見えているとは言えません。そのうち、見えてくることもあろうかと思いますので、長い目で見て頂ければと思います。

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