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日経平均バブル後最安値へ肉薄(株価は関係ないという方にも捧ぐ)

三週間連続で株安をテーマと致します。10月24日(金)のような急落相場を連想していなかった訳ではありませんが、発生が年末頃のイメージでしたので急激な変動に戸惑いを隠せません。日経平均の急落で安易な楽観論も封印されて行くことと思いますが、状況の悪化を確認して行くことと致します

□ 株を持たない人間に株安は関係ないか

小生も株をほとんど持っておりませんが、この株安は非常に困ったことと感じています。最も大きな問題は老後の生活費となる”年金”の問題です。年金は大きく分けて、①国が管理しているもの、②企業が管理しているもの、③個人が管理しているもの、の3つに分けられます。

①国が管理する年金

国民年金や厚生年金の基礎部分がこれに該当します。総資産に対する国内株式の比率は25%程度と思われます。つまり、保有している株式が4割下落すると、年金資産全体の1割が棄損したこととなります。昨年来から考えると、現状はそのような状況と言えます。もし、株価が上昇に転じなかった場合、年金保険料の引き上げと年金額(受取)の引き下げ及び税金を使った補填等、いずれも国民の負担が増加することなります。

②企業が管理する年金

業界団体が管理する場合もありますが、それも同じく企業の負担となります。但し、確定拠出型は個人管理のものとなりますので、この項目とはなりません。

企業の管理する年金(確定給付年金)においては、株式棄損分を補填することとなります。将来の給付金額を想定される利回りにより引きなおされた現在価値の額を保持する必要があります。企業が株式棄損分を補てんすることはつまり、企業の利益が減少することを意味します。その場合、自社株価の下落を容認できないため、社員の給料が引き下げる行為を行う経営者が多いと思います。端的にいえば収入が減ることになります。

③個人が管理する年金

保険による年金契約や確定拠出型年金がこれに該当します。株式で運用されている比率で影響の大小はあろうかと思いますが、多くの場合、国が管理する年金と同程度の比率の株式運用がされていることが多く、相応に損失を被っていると思われます。問題なのはこの損失で足許にどうこうすることがないことです。あくまでも将来の受取額の減少であり、問題の先送りをするからです。但し、少なからず将来の不安を覚えることとなると思います。

以上踏まえると、どう考えても個人消費が落ち込むことは必至と思われます。その結果、景気が後退し、更に株価が下落するという悪循環がこの先待ち受けていると感じます。

□ 泣きっ面に蜂、株安に円高

株安だけでも問題ですが、急激な円高が日本経済を落ち込ませます。先の年金については、外貨の株や債券を保有しているため、円高がすすむとその分資産を棄損させることとなります。それ以外にも問題は多いのですが、とりあえず、円高の進行度を下記のとおり記載いたします。

10月24日の円高値(カッコ内は9月末)

ドル円=90.82(106.32)

ユーロ円=113.64(149.79)

豪ドル円=54.96(84.08)

ポンド円=138.95(189.04)

ニュージーランドドル円=49.91(71.16)

ドル円の円高の幅も大きいが、他の通貨での円高の大きさが際立っています。輸出企業にとって問題なのはユーロ円の円高です。当該想定レートを150円程度に置いていたところが多く、2割以上の円高は収益を大幅に悪化させることは間違いありません。ソニーが減益の発表をしていますが、輸出企業の多くはこれから同様に収益の下方修正をすることになります。株価のPERが低いということで株式投資を進めていた方は、利益の低下でPERが上昇することになるということに注意すべき状況になろうかと思われます。

円高の影響は年金や輸出企業だけではありません。個人が投資している資産も目減りさせます。グローバルソブリンという巨大ファンドは約4割をユーロ建てで保有しており、日本円の比率(14%程度)分以外は大幅に損失を被っていることになります。また、豪ドル建債券を投資されている方は年初から見れば4割以上を棄損する状況となっています。

一方で輸入企業や電力、ガス会社は儲けているのですが、それは余り還元されていないようです。それは、これらの企業がすでに今期の外貨調達をある程度終了させているためです。内外金利差があるため、予め為替予約で3ヶ月後に外貨を購入する契約をすれば、足許のレートより円高の位置で外貨を購入できるため、積極的に為替予約を行っていました。来年度になれば少しは還元されるかもしれませんが、足許すぐには難しそうです。

円高で政府の資産も棄損しています。2003年頃に大量の円売ドル買介入をしていたたため、米国ドルを中心に大量の外貨を保有しています。為替の水準は100~105位ですので、1割以上のマイナスとなっています。これも間接的に国民の負担となることも付記しておきます。

円高自体も株価の下落要因であり、連鎖的に状況は悪化してゆく可能性は否めません。

□ 預金+日本国債(固定利付)運用が最も有利だった

皮肉なことに、あれこれ考えて運用していた人よりも、預金や日本国債による円の確定利回り運用が最も有利でした。状況が変化すればこの優位性は崩れますが、当面の間そのようなことはないと考えています。小生は年明けまで、株や外貨投資を手控えることを改めて強く認識しています。

今回は趣向を変えて、資産運用を行っていない人に向けての記載としてみました。最近、当該ブログの閲覧が増えているため、記載のペースを増やしました。これに懲りずに訪れてい頂ければ、記載の励みとなります。

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コメント

はじめまして。
元システムエンジニアで、現在監査法人在職、経営大学院に通う勤労苦学生です(笑)。
最近の経済事象を色々と調べていて、貴職のH.P.に辿り着きました。
貴職の仮説で特に共感したのは、ルーブル合意以降の日本経済の建て直しが昨今の政治動向を酷似しており、誤った歴史は繰り返されるのではないかという記事です。

貴職の記事、今後も拝見したいと思いますので、今後とも執筆頑張って下さい。

どうぞ宜しくお願い致します。

投稿: ikuo.nohda | 10月 27, 2008 10:43 午後

ikuo.nohda 様

コメントありがとうございました
コメントを頂戴するのは久しぶりです(そもそも最近余り記載していなかったためですけど)
小生、誤った歴史を繰り返すと言うよりは、日本の政治も、日本の企業も構造的に何ら変化をしていないと言うことを一番伝えたいと考えています。
今後とも宜しくお願い致します

yohsshi

投稿: yohsshi | 10月 29, 2008 09:56 午後

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