« 日銀利下げは誰がため?(不況にあえぐ国民に捧ぐ) | トップページ | 金融不況、全産業へ波及(トヨタ決算をサプライズと言う方に捧ぐ) »

米大統領選挙後(民主党オバマ氏優勢)の経済について

米大統領選挙は、オバマ氏優勢のまま終盤を迎えています。遡ること4年前にも米国大統領の記事を記載しており、最近、そちらを閲覧されている方が多いため、久しぶりにこの話題を採り上げます。

□ 大統領選挙の翌年はドル安(円高)

4年前の記事でも記載しているが、1976年以降で共和党が負けた選挙は2回とも円高(ドル安)になっている。小生は今回も円高に振れる可能性が高いと考えている。単なる経験則だけでなく、経済的に解説をしよう。

ドル安を読む理由は、米国の財政赤字膨張にある。一般的に、民主党は”大きな政府”を標榜しているため、財政赤字が膨らむ傾向があるとの指摘が多い。現実の政策は、大統領就任後の演説(一般教書演説)で確認することになろうが、この傾向が今回も当て嵌まると考えている。

米国は、既に財政赤字拡大モードとなっている。金融システム維持(預金保護)のため、巨額の公的資金が投入されている。勿論、貸出しているだけであるため、早期に金融不安が後退し、従前の状況に戻れば良いが、そのようには思えない。楽観的な見方でも金融危機からの回復に2~3年持続すると言われているため、短期的にはむしろ赤字が拡大する可能性が高い(かつての日本がそうであったように)。

加えて、最近『ニューディール政策』ということを呼び起されることが増えて来たように思う。社会の教科書に記載されているこの政策が実施されると、当然米国の財政赤字が拡大する。オアマ氏がそのような政策を実行するかどうかが更なるポイントとなることは必至と言えるだろう。

少し前の記事で『拡大財政は短期的に自国通貨高つまりは円高を招く(=マンデル・フレミングモデルによる、尚、然る後に通貨の調整機能で円安に回帰)』と記載した。この点から、米国もドル高に移るのではないかとの疑問も出るだろう。勿論、日本が同時に行うこととなることもあるが、ドル高にならないことを記載する。

日本と米国では貯蓄率が異なることが大きい。同じ割合の財政支出を国債発行による財源で行った場合、金利が上昇する程度をイメージしてほしい。日本の場合は、上昇は軽微というよりもほとんど上昇しないが、米国は大きく上昇するだろう。これを”クラウディングアウト”と呼ぶ。その影響で景気の浮揚効果が損なわれるため、ドル高への圧力も極めて小さなものとなるだろう。

更に、米国財政赤字拡大=米国信用不安の拡大 と考えるならば、米国への資金移動は減少する。これを補うためにクラウディングアウトの影響は大きくなる。その過程で、米国への投資が大幅に減少すると共に、リパトリ(自国通貨への回帰)が発生する。結果として、経常収支の赤字国の通貨が売られ、同黒字国の通貨が買われるという結論になるのではないだろうか。

短期的に円高は免れないだろう(金融に携わる人間は皆知っていることであるが)。

尚、米国の公共投資が全く駄目であるというつもりはない。万年、公共投資が垂れ流されている日本と異なり、米国は公共投資により、効率的になる部分は相当に大きいと聞いた。経済的な波及効果が認められるのであれば、その公共投資は良い公共投資と言える。問題なのは効果が出るまで時間がかかるということに過ぎない。

□ 日本の円高対抗策

有効な対策はない。ドルが暴落する等の過度の反応について、協調介入が合意される可能性はあろうが、先日の1ドル=90円の相場で実施されなかったことを考慮すると、それよりも厳しい局面となることを覚悟すべきであろう。

当然、財政支出には効果ない

ソニーに代表される輸出企業は、業績の下方修正発表が相次いでいる。これはドル円の円高の影響よりもユーロ円の円高の影響の方が大きいと思われる。1ユーロ=160円台から1ユーロ=110~120円台(下方修正後のソニーの想定為替レートは125円))へと2割程度も下落したため、利益が吹き飛んだことが大きい。

日本が円高が困るという状況を作り出している限り、このような事態を招くことが今後も多いであろう。このような時こそ輸入企業の登場となるはずだが、景気の良い話は聞かない。スーパーが安売りセールをしている位(円高のデフレ圧力に備えた在庫圧縮の意味合いが強いと分析)。輸入企業が円高を享受できないのは、長期で為替予約をしていることが影響している。

1ドル=100円の時に、毎月10万ドルを5年間円に転換する契約を結ぶと1ドル=95円程度で転換できる。これを生かして円安時も価格上昇を抑えていた面があると考えている。すべてのものを予約しているとは思わないが、相応の比率を予約されており、その分、消費者はこの円高のメリットを生かせない。一方で輸出企業はせいぜい今期分の為替予約をしている程度で、来期もこの水準であるならば、利益計画が相当厳しいことは想像に難くない。

政府にはこのような状況を是正する政策を願いたいものだが、恐らく効果のあるものは出て来ないだろう。せめて、日本が円高になっても利益を上げていくために官民力を合わせることが重要ではなかろうか。それができない場合、日本人は外貨投資をすべきではないだろう

またしても、弱気の結論になっています。小生は投資の場合に最悪の事態をイメージすることは重要と考えていますので、ご容赦下さい。尚、状況は底割れから中期的下落相場に移行したと思いますので、少しは安定すると思います。積極買いは難しいとは思いますが、この状況で冷静に資産配分の見直しをされると良いと思います。長期的な視野に立つことが重要で、そのお手伝いができるとすれば幸いです。

|

« 日銀利下げは誰がため?(不況にあえぐ国民に捧ぐ) | トップページ | 金融不況、全産業へ波及(トヨタ決算をサプライズと言う方に捧ぐ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42635/42992311

この記事へのトラックバック一覧です: 米大統領選挙後(民主党オバマ氏優勢)の経済について:

« 日銀利下げは誰がため?(不況にあえぐ国民に捧ぐ) | トップページ | 金融不況、全産業へ波及(トヨタ決算をサプライズと言う方に捧ぐ) »