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金融不況、全産業へ波及(トヨタ決算をサプライズと言う方に捧ぐ)

トヨタ自動車11月6日発表の業績下方修正を”トヨタ・ショック”と呼ぶようです。しかし、小生にはショックとは思えません。既に急激な円高が発生しており、業績下方修正は不回避であったことは明白であり、そもそも予想できるものをショックとは呼べないのではないでしょうか。これをショックと呼ぶ方は、日経平均9千円台を戻り売できなかった人か、日経平均9千円台で空売ポジションを構築して下がって欲しい人の何れかではないかと思います。

□ 無能なトヨタ経営者

ショックがあるとすれば、思ったよりもトヨタ経営者が無能であったということか。自明であるが、円高になれば損失が発生する訳ですから、それをリスクとして認識し、回避すべき行動を取るべきであるが、それを怠った、ということです。来年度以降の決算数字が円高で下方修正されるということであれば、判らないではないが、年度の半分を経過した段階で、予想利益の3分の2を逸失した行為は如何なものであろうか。現場の担当者であれば、まず”首”になる数字であるが、経営者は責任を取らないケースも多いだろう。『予測できないこと』として、責任を免れるとすれば、今後の同社の株価に不安を感じざるを得ないだろう。

小生は、トヨタが比較的まともにリスク・ヘッジをしており、世の中にはもっと、酷い会社があるのではないか、と疑っている。その場合、損失を表面化させることなく、突然に倒産したり、損失隠ぺいに動く恐れがあり、この点への警戒は必要ではなかろうか(警戒しても判らないことであるが、違和感のある決算数字を出す会社には要注意であろう)。

余談であるが、輸出企業の円高リスクをどのように回避するかということについて記述する。一番わかり易い方法は、先物為替予約でUSD売(円買)を行うことであろう。例えば来年3月の利益(3月月間の収入と支出の差)が100万ドルと見込まれる場合、3月31日の受渡日でUSD売却をする。この場合問題となるのは、約定日と受渡日が離れていれば居るほど、低い値段で売却することになることである。

9月30日約定、翌3月31日受渡で100万ドルを売却することを解説(厳密にはBasis取引が絡むが簡素化のため割愛)する。
前提条件=USD円為替レート:100円(9月30日のレート)、期間半年の円金利0.5%、期間半年のドル金利2.5%とすると、
3月31日の先物為替レート=現在為替レート-(日米金利差)×期間=100-(2.5-0.5)×0.5=99

と99円となる。100万ドルは9900万円という利益見込みとなる。仮の話となるが、3月31日まで為替が動かなかった場合、100万ドルの利益は1億円ということになる。この差額100万円をケチって積極的に為替予約をしない輸出企業は少なくないと思われる。増してや、前述の例では米国金利を2.5%としていたが、現実的には4%以上あったため、先渡による価格下落幅はもっと大きなものであった。このため、円高にならないことを祈りつつ、過ごしているうちに大幅に円高となり、損失を被ったという所。

□ 無能なアナリスト(エクイティ)

専門家と呼ばれる人間は、予想レンジが外れた瞬間から論理的でなくなることが少なくない。具体的には、株価の予想がレンジの下抜けをした場合、以下の反応となる。

  • 現在の相場は下がり過ぎ(一時的な下落)
  • 従前の予想レンジ(抜ける前)から大きく逸脱しない新たな予想レンジを設定
  • このやや高めの予想レンジに合わせて企業の利益予想を逆算
  • 実態に比べ、高めの利益予想が完成
  • 予想利益に対して、低めの利益計上もしくは収益計画の発表
  • 市場予想を下回る利益発表の企業の信頼が損なわれ、株価が下落
  • 結果として予想レンジの逸脱(下方向)が加速

現在、そのような状況にあるのではないか。トヨタの今期利益の市場予想は小生のイメージよりも遥かに高かったのはこのような心理的な罠があったものと推察している。

尚、予想レンジが更に逸脱した場合、アナリストは超悲観的なレンジ修正をすることが多い。実は株価はその時が買い時になることが多い。この点を見極めて投資を行うことも一興ではなかろうか。何れにしても専門家の意見を鵜呑みにせず、自分なりの意見・尺度を持って投資を行うことが重要と考える。この点については言うまでもないことであるが、相場が荒れると失念することが多いため、敢えて付与する。

最近、驚くほど、アクセスが増えています。株価よりも為替の方の興味を持ってらっしゃる方が多いようですので、今後は為替の記載も増やして行こうと思っています。何時のことながら、皆様の投資が上手く行くことを願っております。

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